読物の部屋その48
       ★読書録(27)                            徳淵 誠 
    
勤めていた会社のOBが集まってインターネット同好会をやっている。志願して入ったら
総会企画実行幹事をおおせつかった。次回総会準備のための幹事会が招集され電車に乗
って会場に向かった(今は思う所があって幹事職を辞めている)。40分位電車に乗っ
ているので、始発電車で必ず座れるので、本を読んでいたら2駅乗り過ごしてしまった
。

乗り過ごすくらい面白かったのは稲葉振一郎著「経済学という教養」(東洋経済新報社
刊¥2000+税)。お金の話はあまりないが、お金をめぐる話がやさしく、面白くわかり
やすく書いてある。同じ出版社が出した栗本慎一郎著「経済人類学」¥1500にはお金、
貨幣、物々交換、その儀礼などお金のはじまりについて真面目に書いてあった。駅の売
店でガムを買う。ハイお金、ハイガム、ハイお釣りとなるのだが、このやりとりは不思
議と云えば不思議である。インターネット上ではゴミまじりの情報がタダで(多少の設
備投資は必要だが)湯水の如く入手できる。タダつまりお金のやりとりなしで。お金の
役割、バブル経済とは何か......。数学と同じく人間の頭で考え出したものであるお金
はどうも人間の感性と関係があるらしいと思っていたところでこの本を読んでいたので
、電車を乗りすごしたらしい。面白い事は面白いのだが、何となくむなしい読後感が残
る。人間の振る舞いの一面であるお金のからむ経済活動を解明するにはマダマダ時間が
必要なようだ。


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